So-net無料ブログ作成
検索選択

April 14 バークレーのボヘミアン、その他 Berkeley Bohemia, etc. [本・読み物 reading books]

April 14, 2008 (Monday)

この日Mちゃんの父がバークレーにひとりで行ってMoe'sに寄って買った本。

Susan Cheever, American Bloomsbury: Louisa May Alcott, Ralph Waldo Emerson, Margeret Fuller, Nathaniel Hawthorne, and Henry David Thoreau: Their Lives, Their Loves, Their Work (New York: Simon and Schuster, 2006) 〔$15を9ドルで購入〕

AmericanBloomsbury.jpg

 たまたま『若草物語』の新版の序文を書くことになった著者が、少女時代以来ひさしぶりに『若草物語』を読み直して驚愕し、引き寄せられるようにソローやホーソンやエマソンやらとの交流について読みふけり、「アメリカ・ルネサンス」がこのコンコードを中心に起こったことを20世紀イギリスのブルームズベリー・グループになぞらえたのがタイトルの由来ですが、著者は学者じゃなくて小説家なので、全体は物語仕立てになっているようです(バスの中で頭の10数ページしか読んでいません)。それでも、巻末には典拠の注とか、文献リストとか索引とかついていて、アカデミックな装いがあります。

Ed Henry, Shelley Rideout, and Katie Wadell, Berkeley Bohemia: Artists and Visionaries of the Early 20th Century (Layton: Gibbs Smith, 2008) 〔$24.99を22.50ドルで購入〕

BerkeleyBohemia_cover.jpg

新刊。(実際は正方形の大型本です。)5月9日の夜にバークレーのCody's書店に著者(たち?)がやってきていたようです。副題が「20世紀初頭の芸術家と幻視家たち」で、パラパラとめくって次のようなページがあったので買いたくなりました。

BerkeleyBohemia_3.jpg

Yehan Numata の話ですが、その前に、Cosmic Society をつくったキーラーについて。Charles Augustus Keeler (1871-1937)はウィスコンシン生まれですが、生まれてすぐに父を失い、母親が再婚した義父と3人で1875年にバークレーにやってきます。1887年にUCバークレーに入学しますが、病気のため退学、しかしサンフランシスコのCalifornia Academy of Sciences に職を得る。最初の著作、Evolution of Colors of North American Land Birdsを発表した1893年に、UCBで昆虫学を学んでいたLouise Mapes Bunnellと結婚、その後、彼女のお師匠さんやいろんな人がキーラーのまわりに集まるようになります。科学を学んでいたのですが、詩と演劇にキーラーは魅かれて行きます。最初の詩集が1894年のA Light Through the Storm。一方で、あちこちを旅行してまわり、John Muirと親交をもったりもする。Hill Clubをつくって、Bernard Maybeckらとシンプルな建築の理想をバークレーで展開する。Ruskin Club をつくって手工芸を実践する。奥さんのLouiseは1907年に亡くなってしまいますが、彼女がキーラーの詩集のイラストを描いています。1925年、世界宗教を理想とする著書An Epitome of Cosmic ReligionにもとづくFirst Berkeley Cosmic Societyを創設。

 キーラーは神智学やスピリチュアリズムやクリスチャン・サイエンスには批判的だったようなのですが、東西の宗教の融合を唱えたところは神智学と重なるところがあるのかもしれません。ともかく宗教上の人種の差別を否定して、さまざまな宗教家に交流を呼びかけますが、そのなかに若いYehan Numataがいて、162ページに載っているのは沼田の返事です(UCBのBancroft LibraryにKeelerの資料は寄贈されてて、これもそのひとつであることがハンコからわかります。そんなまんなかに押さんでも、と思うのですが)。

 沼田恵範(1897-1994) 〔たぶん正しくは沼田惠範〕については日本のウィキペディアに記述がありますが、1965年に仏教伝道協会を創設して、現在も世界中のホテルの部屋に置いてある『仏教聖典』の配布を始めた、三豊製作所の創業者です。日本のホテルにあるのは日英対照版だと思います。

02-P1.gif

 沼田は浄土真宗の寺に生まれ、最初ハワイ(19歳で現地の小学校を卒業してるようです、もちろん日本でも小学校を出ているわけですが)に、そしてカリフォルニアに、布教のために派遣されます。そしてUCバークレーに入学。1923年、3年生のときに日本人学生の寮を含めてBerkeley Hillsの住宅が延焼する火事が起きたとき、近隣の家主たちはアジア系学生の住居を丘に再建することに反対して、丘には白人だけが住めるのだと主張します。沼田は学生のリーダーとしてたちあがり、バークレー市長に陳情して住居再建の認可を得ます。

 父のあとは継がずに俗人として生きることに決めていた沼田でしたが、1925年7月にPacific World 誌を創刊し、 "one great underlying force that is present in all men, that is Love" という信念に基づいて、東西融和のためにアジア文化を紹介する企画をはじめます。さっきの162ページからの引用写真の便せんの "The Pacific World" の下には "A bi-monthly English speaking magazine devoted to the true expression of the Orient and the Occident." と書かれています。「東洋と西洋の真の表現にむけられた隔月刊の英文雑誌」。「真の表現」とはなんなのか。その下には日本語で「大海 英文雑誌:東西文化ノ融和ヲ劃〔カクス〕」と、もっとふつうの表現で、書かれています。

 沼田はこの雑誌を無料で全米に、そして世界に(インド、イギリス、ドイツ、セイロン、日本、フィリピン)送ります。宇宙協会からの誘いに対する返信はこの雑誌創刊後まもなくの、1925年の9月24日付のものです。支援者はいるのですが、雑誌の資金の援助はなかなか得られません。『大海 The Pacific World』は、数年で資金不足に陥り、休刊となります。沼田は大学院で経済学の学位をとり、日本に帰国しますが、援助・資金の不足によって企画が閉じてしまうことのないように、潤沢な資産を用意する覚悟をもつ。それがその後の三豊製作所の創業に、そして1965年の仏教伝道協会の創設につながっていくわけです。

かねて60年代のカウンターカルチャー、あるいはその前のビート・ジェネレーションの背景にあった精神性とか東洋文化志向とか神秘主義志向とかは、戦前にまでさかのぼれるし、とりわけカリフォルニアはそうだっただろうこと(つまりビートは東部にも中心のひとつはありますが、やっぱりサンフランシスコを中心として起こったわけですし、対抗文化のとりわけ神秘主義的な部分はカリフォルニアが少なくとも目立っていた――たとえば荒俣宏がちょっとルポふうに書いた昔の文章〔1〕が示すように――わけですが、土壌があっただろうということ)が、さまざまな団体の1920年代におけるカリフォルニアでの創設にうかがえると思っていたのですが〔2〕ちょっと地縁で個別具体的に調べてみようかな、という気になりました

BerkeleyBohemia_back.jpg

カバーフラップより――

From the Inside Flap
The concept of bohemia, or a place of unconventional lifestyles, flooded the city of Berkeley at the turn of the century. It was a city of scholars, a crossroads of cultures and a magnet for visionaries. This unique combination of ingredients provided fertile ground for individuality, eccentricity and creative expression. Bohemians from Berkeley, with their Grecian architecture and flowing robes, imagined themselves in the Athens of the West. Because freethinking was welcome, Berkeley was a nurturing environment for the likes of Florence Boynton, who introduced natural living; John Muir, who led the ecology movement; and Charles Keeler, who founded the Cosmic Religion.
In Berkeley Bohemia, Herny, Rideout and Wadell provide glimpses into the lives of the artists, writers and philosophers who had a profound influence on what the city has become today. The artistic creations of novelist Jack London, photographers Ansel Adams and Dorothea Lange, architect Bernard Maybeck and writer and artist team Charles and Louise Keeler, to name a few, continue to inspire. Their words are imprinted in the sidewalks of Addison Street, their homes-such as the Hights-are open for tours; and the schools they founded continue to enlighten and educate despite the passing of time. Berkeley Bohemia is both a cultural history and a celebration of the extraordinary.
Ed Herny has served on the Board of Directors of the Berkeley Historical Society since its founding in 1978. He began studying and collecting the works of Charles and Louise Keeler several years earlier. He is president of the San Francisco Bay Area Post Card Club, an ephemerist and an "active student of history."
Shelley Rideout's fascination with history stems from childhood visits to family homes, looking through old photo albums and dressing up in vintage clothing she found in the attic. While working on a BA in Theatre Arts at Sonoma State University, she participated in the founding of the Women's Studies Program and co-taught a student sponsored class on Women in History. In 1993, she was awarded an MA in Museum Studies from San Francisco State University, where her focus was the curatorship of historic costume and textiles. She is an active member of the Costume Society of America and has served as the Western Region president. Upon moving to Berkeley in 2000, she joined the Berkeley Historical Society and has been a board member and a volunteer in the archives.
Katie Wadell first became interested in the Arts and Crafts movement when she visited the Gamble House in Pasadena, California, as a teenager. She earned a master's degree in American history from New York University in 2000, and later worked with the Berkeley Historical Society for five years. With Shelley and Ed, she co-curated the original "Berkeley Bohemians" exhibition in 2004. She now lives in Chicago with her husband, Jesus.

----------------------------------------------------------------------------

〔1〕 たしか『神秘学マニア』

〔2〕 たしかMax Heindelの薔薇十字団 (The Rosicrucian Fellowship) の結成はカリフォルニアだし、ハインデルの弟子のManly P. Hallが哲学探究教会をつくったのはロサンゼルスだった(これは1930年代か)。Herbert Spenser Luis が1925年にフロリダで創設した薔薇十字古代神秘教団 (Ancient Mystica Order Rosae Crucis = AMORC)は1927年にはカリフォルニアに移っている。薔薇十字と同時に作家のフィッツジェラルドが遺作のThe Last Tycoon で言及するI Am Cult も1929年にカリフォルニアで興っている。神智学協会のアメリカでの本拠地もこのころは大学(神智大と略して訳すとヘンだが――Theosophical University――)もあったカリフォルニアのPoint Lomaだったはずだ。

参考サイト

Charles Augustus Keeler 〔San Francisco Bay Area Arts & Crafts Movement <http://www.geocities.com/SiliconValley/Orchard/8642/> 内〕

Recollections of John Muir 〔John Muir Exhibit <http://www.sierraclub.org/john_muir_exhibit/frameindex.html?http://www.sierraclub.org/john_muir_exhibit/people/keeler.html> 内〕

沼田恵範-Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BC%E7%94%B0%E6%81%B5%E7%AF%84

財団法人仏教伝道協会 http://www.bdk-jp.org/

ドイツ惠光日本文化センター http://www.eko-haus.de/j_toshokan.htm

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。