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June 23 おおカリフォルニア!(2) おおスザンナ! (2) Oh! California Oh! Susanna [歌・詩]

June 23, 2008 (Monday)

   (承前)

歌詞が気になって、詞は詩だからということで、いちおう以前からちょっと信用している英詩のサイトのひとつを見てみたモーリちゃんの父であった(しとしとぴっちゃん)。 RPO: Representative Poetry Online。カナダのトロント大学の英文科の誰かさんのページであったと思うが、今見ると、ページ下に " Your comments and questions are welcomed. All contents copyright [コピーライト] RPO Editors, Department of English, and University of Toronto Press 1994-2002 RPO is hosted by the University of Toronto Libraries." と記されていた。ふーん。で、そこに「おお、スザンナ!」が入ってました。

    RPO--Stephen C. Foster: Oh! Susanna [Stephen C. Foster (1826-1864) Oh! Susanna]

しかし、コピペしようかと思ったけれど、"Online text copyright [コピーライト] 2005, Ian Lancashire for the Department of English, University of Toronto. /Published by the Web Development Group, Information Technology Services, University of Toronto Libraries. " とごたいそうに記されていたので、テキストを貼り付けるのは控えます。行番号を付して、注があって(あ、これは下に引いておきます)、そして出典やテキスト情報がちゃんと記されています(こうでなくちゃね♪)

Notes

2] wid: with.
ban jo: banjo, stringed instrument probably of African origin.

11] telegraph: "telegrph" in original text, i.e., telegraph wire.

15] bullgine: steam locomotive.

そして、

Original text: Original Christy Minstrels. The Oldest Established Band in the United States, As Arranged and Sung by them with Distinguished Success at all their Concerts .... No. ... 8 Oh' Susanna. New York: C. Holt Jr., 1848. Facsimile in Stephen Foster, Minstrel-Show Songs, introduction by H. Wiley Hitchcock, Earlier American Music 14 (New York: Da Capo Press, 1980). M780.82 E13 no. 14 Toronto Metro Public Reference Library.
First publication date: 1848
RPO poem editor: Ian Lancashire
RP edition: RPO 1998.
Recent editing: 1:2002/4/27

Composition date: 1848
Rhyme: [Solo] ababcdcd [Chorus] bb
Form note: Irregular.

  やっぱり1848年のHolt版だよなー。そうだそうだ。

  んがー、自分が書き取ったのと、Holtのテキストと、三つを見比べてチェックしたところ、(いっぽうで自分の書き間違いに気づいて2か所ひそかに直した(改竄と呼ばれてもよいです)のだけど)――なんかerrorがやたらあるじゃんか!

  "Susana" というあからさまなまちがいが19, 23, 28, 29, 33, 38, 39行目。注の1にもなっている ban jo という分かち書きの根拠はどこにあるのか? (2, 10, 20, 30, 40行)。 3行目のLouiisiana → Lousiana (Fosterによる意識的なmisspelling と考えるべき、ちなみPeters 版では "Lou'siana")。5行目rained → rain'd。14行目 And Killed five Hundred Nigger → And killed five hundred Nigger。15行目 buste → bust。27行目 I, im → I'm。

   このなかでひどいな、とモーリちゃんの父が腹が立ったのは、14行目です。 ついでに議論する気になったから、問題とされている2番を引きます。

11 [Solo] I jumped aboard de telegraph,
12 And trabbelled down de riber,
13 De Lectric fluid magnified,
14 And Killed five Hundred Nigger
15 De bullgine buste, de horse run off,
16 I realy thought I'd die;
17 I shut my eyes to hold my breath,
18 Susana, dont you cry.

  まあ、[Solo] とかいう指示もどこから来たのか疑問ではあるのだが(笑)、でもテキストは基本的には1848年のHolt版であることは "trabbelled" とか "bullgine"とかの綴りとかも含めた細部の検証でほぼまちがいないと思われます。それでこの2番は「難解箇所」であると同時に「問題箇所」であって、 sensitiveな日本人も「俺は電信機に乗って川を下り/電流を上げて500人の○○を○○した/エンジンが爆発して馬が走り出し 本当に死ぬかと思ったよ
/息を止めて目を閉じた スザンナ、泣かないでおくれ/<注:○○部分はあえて訳を割愛>」(worldfolksong.com)とか、「歌詞を読んで見て、はて取り上げようかどうしようかちょっと困ってしまったのはこの歌、当時のミンストレルショー(白人が顔を黒く塗ってコミカルな道化役を演じるショー)で歌われる典型的な歌で、露骨な黒人差別のフレーズがあるのですね。訳詞が本業でもない私がこういうのを公開したことで抗議やら嫌がらせやらの対応をさせられるのは嫌だな、と思ったらこういう歌は取り上げないか、もしくはそこの部分をなかったことにするというのが賢明なやり方なのでしょうが、それでは私が今までここで世間に文句を言ってきたことと何ら変わらない行為になってしまいますので勇気を奮って掲載します。そういう歴史を振り返って考えるための題材として取り上げたのであって、決して差別的な意図があるのではないことをどうぞご了解ください。」と注記して訳す(藤井さん)とかしています。前にもあげたNPR (アメリカのNational Public Radio) は " Today, however, the original version of the song isn't performed, says Ken Emerson, author of Doo-Dah!: Stephen Foster and the Rise of American Popular Culture. The second verse is violently racist. Emerson says that artist performing Fosters' songs these days leave out the offensive lyrics." と解説し、(前にも引いたように、歌詞の前に) "(Warning: Lyrics contain offensive material reflecting racial attitudes of the day and one act of violence.)" と警告したりするわけです〔歌詞は、当時の人種的姿勢を反映した不快な内容と、暴力的なふるまいを含んでいます、みたいな〕 。 "one act of violence" というのは、(ここが難解箇所と問題箇所が二重になっていて悩ましいところで、モーリちゃんの父も英語の読みに自信はないのですけれど)、 "killed five hundred Nigger" を指していると思われます。ここの個所、読みは異論がなくはなく、ちょっと考えてから結論を出すなりなんなりさせていただきたいのですが、ちょっとだけ疑問を出しておくと、皆さん(それはnativeの人も含めてのようだから自信がないのだけれど)、語り手が "killed" したと読んでいるようですが、そうなんでしょうか。そうだとすると The electric fluid magnified は(a) "(I) magnified the electric fluid and (I) killed five hundred ... " か、もしくは(b) "The electric fluid (being) magnified and (I) killed ... " ということですか。前者(a)の動詞と目的語をひっくりかえすのは伝統的に詩ではあるけれど、韻律の関係で必要性があまりないし、そういうrhetoricをこの詩の話者は使う必然性はないと思われます。後者(b)も同様に分詞構文を使って語る語り手ではないと思うのですが。例によって、というか詩のなかの文のカタマリぐあいがわからんのだけれど、少なくとも次の15行目の二つの節の主語は「私」でないのは明白で、だったら13行目の The electric fluid magnified は主語は「電流」、動詞がmagnified、そして14行目のkilled の主語も「電流」にとるのが自然なんじゃないんでしょうか。(うわー、なんかあとで、間違ってましたー、みたいなことになりそー)。

  ともかく、それがそうでないにしても、腹が立ったのは、オリジナルでは大文字にしていない言葉を大文字にして、ことさら強調しているようしか見えない点です。 And Killed five Hundred Nigger。絶対おかしいと思う。まあ、1848年のHolt版にもいろいろあって(注の2番目で"telegraph: "telegrph" in original text" というのもわけわかめなんだ)、and/or RPOが依拠した紙の版、これは、いちおうファクシミリを載せていると書いているが、載せただけじゃなくてそれを誤読したのが載っていて、さらにそれをそのままRPOが使ったのかもしれない可能性は、可能性としてはもちろんありますがね。

  少なくとも、個人的な想いとして勝手に言えることは、いっぽうでtextual criticism を経ないテキストの増殖は劣化の過程をたどる、という悲しい原則を認識すると同時に、それとは別の政治的・批評的作為を感じ取ってしまったモーリちゃんの父なのでした。

 

6月24日付記 このRPOが依拠したテキストをその後図書館で確認した結果、基本的にRPIに間違いはなかった(そのまま写した)ものであることがわかりました。しかしそれでも問題は残ると思います。経緯は「おおスザンナ!」(5)あたりで書くと思います〔(4)も参照〕。上の文章は雑感としては間違っておらんし、そのまま残します。-M

 


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