So-net無料ブログ作成
検索選択

September 26 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1 1/3)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1 1/3)  [歌・詩]

September 26, 2008 (Friday)

September 15 アイラ・ガーシュウィンの「ス・ワンダフル」 (1)  " 'S Wonderful" by Ira Gershwin (1) の半分(3分の1)つづきです。

 

   ロシア系ユダヤ人でニューヨーク生まれのGershwin 兄弟は、弟のGeorge が一般的には有名で、兄の作詞家の Ira は、たとえばジャズボーカル好きの人には親しい名前ですが、有名な弟の影に隠れている感じがあります。ジョージ・ガーシュウィン(1898.9.26 - 1937.7.11)が脳腫瘍のために38歳で急逝して、残されたアイラ・ガーシュウィン (1896.12.6 - 1983.8.17) はしばらく音楽活動を休止しますけれど、 やがて復活し、戦後も作詞活動を続けます。1983年カリフォルニア州ベヴァリーヒルズの自宅で86歳で亡くなりますが、二つ年下の弟のジョージよりも40年以上長生きしたのでした。ガーシュウィンというと20世紀前半というイメジがあるのですが、アイラがつい最近まで(というほどでもないが、モーリちゃんの父が生まれてからだいぶたつまで)生きていたというのは、ちょっと不思議な感懐を覚えます。

  それで、1950年代初頭の映画『巴里のアメリカ人』制作時に、アイラ・ガーシュウィンはかかわっていて、詞の書き直しも行なっているのでした。全体の詳細はわかりませんが、とりあえず " 'S Wonderful " についてわかります。それは、このあいだの記事で書いたように、聞いてすぐにわかる――

1951年の映画『巴里のアメリカ人』のなかで、アイラ・ガーシュウィン作詞、ジョージ・ガーシュウィン作曲の歌のひとつである " 'S Wonderful " は、野郎どもふたりによって歌われています。下の trailer (予告篇)でもその部分が挿入されていて、まずジーン・ケリーが " 'S wonderful " と歌い、それに対してジョルジュ・ゲタリが " 'S marvelous " と応じ、ジーン・ケリーが "She should care for me." と続けます(2:13から10秒くらい)。 It's wonderful (,it's marvelous,) (that) she should care for me.  という文意です。原詞では "she" ではなくて "you" なんですが、このシーンでは女に向かって男が歌うかたちになっていないので、かつホモでもないので、she に変わっているのでした(長いヴァージョンは上の動画のリンクをごらんください・・・・・細かいことをいうと "You can't blame" のところはYou のままですが、それは一般的なYou と考えたからでしょう)

  こう勝手な推測で書いたときに、その代名詞の変更とかを「考えた」のは誰か、ガーシュウィンの曲をこの映画に活用した音楽プロデューサーかなんかかと、漠然と考えていました。けれども、アイラは直接この映画にかかわっていたのでした。

   ウィキペディアの「巴里のアメリカ人」は、「スタッフ」として、監督ヴィンセント・ミネリ、制作アーサー・フリード、脚本:アラン・ジェイ・ラーナー、作曲:ジョージ・ガーシュウィン、音楽監督:ソウル・チャップリン、ジョニー・グリーン、振付(choreography ですね): ジーン・ケリー、字幕翻訳:菊地浩司、をあげています。なんで字幕翻訳と既に亡くなっているジョージ・ガーシュウィンがスタッフとして並ぶのか、よーわかりませんが、ともかくアイラについてはふれていません。この記事が「外部リンク」にあげている英語データベースにはそもそもガーシュウィンの名が出てこない(一般人のコメント以外)。これだったらVariety Japan の記述のほうがまともです。――

◇スタッフ
監督     ヴィンセント・ミネリ (Vincente Minnelli) 
製作     アーサー・フリード (Arthur Freed) 
原作     アラン・ジェイ・ラーナー (Alan Jay Lerner) 
脚本     アラン・ジェイ・ラーナー (Alan Jay Lerner) 
撮影     アルフレッド・ギルクス (Alfred Gilks) 
音楽     ジョージ・ガーシュウィン (George Gershwin) 
音楽監督     ジョニー・グリーン (Johnny Green)   ソール・チャップリン (Saul Chaplin) 
作詞     アイラ・ガーシュウィン (Ira Gershwin) 
音楽演奏     コンラッド・サリンジャー (Conrad Salinger) 
美術     セドリック・ギボンズ (Cedric Gibbons)   プレストン・エイムズ (Preston Ames) 
セット     エドウィン・B・ウィリス (Edwin B. Willis) 
編集     アドリアン・フェイザン (Adrienne Fazan) 
衣装(デザイン)     オーリー・ケリー (Orry Kelly) 
録音     ダグラス・シアラー (Douglas Shearer) 
スクリプター     ジョン・アルトン (John Alton)   ヘンリー・ジャッファ (Henri Jaffa)   ジェームズ・グーチ (James Gooch)   Gene Grent (Gene Grent)   ウォルター・プランケット (Walter Plunkett) 
振り付け     ジーン・ケリー (Gene Kelly)   <http://search.varietyjapan.com/moviedb/cinema_7418.html>

  もっとも、音楽は亡くなったジョージになっているので、アイラがどう関わったかは、こういうリストだけでは明らかではありません。でも、アイラは関与したし、「ス・ワンダフル」の詞の改変はアイラ自身によるものでした。Philip Furia のIra Gershwin の11章 "Changing My Tune: 1946-1951" の最後のところ(208-209ページ)にこの詞のことが出てきます(アイラ・ガーシュウィンの詞について、難儀なのは、ジョージ・ガーシュウィンについてウィキペディアが書いているように、「ガーシュウィンはいくつかの作品が大ヒットに恵まれたためか、著作権管理はディズニー社と並ぶほど厳しい。」のだそうで、そのへんが、(楽譜などでは)アイラのほうにも関わるので、正確なところがどうもよくわかりません。)

    ともかくアイラは、新たな「コーラス」部の歌詞を書き足しました。それは、フランス人とアメリカ人の男ふたりによるデュエットという設定のためです。フランス人(ジョルジュ・ゲタリ)のほうは " 'S magnifique !" とか " 'S élégant !" とフランス語とちゃんぽんで相槌を打ちます。アメリカ人(ジーン・ケリー)のほうは、それに対して " 'S what I seek" とか " 'S what I want" と応答する。で、以下引用です。 (最後にふたりは二ヶ国語の友情で一体化する"Finally they unite in bilingual camaraderie:") ――

You've made my life so ting-a-lish;
I'll even overlook your Eng-a-lish!
'S exceptionnel!  'S no bagatelle―
That you should care for me!

Ira'switty wordplay here extended across languages, for, as gerald Mast astutely observed, "the ' 'S ' stands in as easily for the French 'c'est' as the English 'it's,' whichare both contractions in the first place."

  it's が c'est と同じというより、フランス語の「それ」 ce が/s/ と同じ音ということですね。

  この引用の3行目は、エラ・フィッツジェラルドの歌詞〔YouTube〕に出てくるものです(ただし "exceptional" と英語にしていますが)。エラの歌詞には、その前に " 's what I seek" " 's what I want" もあります。なんかbagatelle とかヘンな言葉が気にはなっていたのですが、この映画のコーラスのヴァージョン(の一部)を使っていたのですね。エラのヴァースは女性版ですが。

    しかし、・・・・・・映画のデュエットのシーンを聞いてもこのようには出てこないようなのですが・・・・・・。

  なんでやろ。Furia の本の巻末に長々と "Credits" があって、この曲についてはつぎのようです。――

'S WONDERFUL (Music and Lyrics by George Gershwin and Ira Gershwin) ©1927 (Renewed) WB Mucic Corp. for the United States; Chappell & Co. and New World Music Company (Ltd.) administered by WB Music Corp. for all British Reversionary Territories; New World Music Company (Ltd.), administered by WB Music Corp. for all other countries.

    欲した情報はなんも得られません。アイラは自分たちの楽譜とかを保管するための記念館をつくるのだけど、そこは情報を公開してくれないのかしら――ネットに(笑)。

    ところで(話をそらすように)、Correct if wrong "S'wonderful" Lyrics by "Rod Stewart" という、歌詞を正していくおもしろいページを見つけました。<http://edit.mp3lyrics.org/r/rod-stewart/swonderful/>

  映画におけるふたりのデュエットは、もいっこ別のYouTube を引いておきます。――

 


"Gershwin 14 - 'S Wonderful - Movie soundtrack" (2:50) posted by "Barndog44" on August 20, 2008

 

  それでは、もうちょっと聞きとりの訓練をして出直してきます。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。