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January 21 メスメリズムとアメリカ (補足の1)――擬似科学をめぐって(19)  On Pseudosciences (19) [短期集中 擬似科学 Pseudoscience]

January 21, 2009 (Wednesday)

   ちょっと補足的な説明を断章的に書いておきます。

I.     フィニアス・パークハースト・クインビー Phineas Parkhurst Quimby, 1802-66 のその後
II.    クインビーとエディー夫人 Mary Baker Eddy, 1821-1910

III.  ジョン・ボヴィー・ドッズ John Bovee Dods, 1795-1872 における電気と磁気
IV.  ジョーゼフ・ブキャナン Joseph Buchanan, 1814-89 のサイコメトリー
V.   民間治療と心理学

I.     フィニアス・パークハースト・クインビー Phineas Parkhurst Quimby, 1802-66 のその後
 
  クインビーはやがて自らの透視能力が高まって(ということになっていますが)、それまで催眠術をかけて透視能力を援用していたLucius Burkmar というアシスタントの利用をやめ、患者と直接向き合うようになります。もっともときに催眠術を患者に対して利用したようですが、しかし、患者の信仰について耳を傾けて助言を与えるというようなスタイルに変わっていったようです。クインビー自身の言うところでは、異常に明晰な状態に入ってヴィジョンが見え、患者のまわりの「精神的雰囲気 mental atmosphere」が見えた、ということです。そういう状態になると、忘れられた記憶の層を垣間見ることができ、また、患者が善と悪に対して抱いている考えがわかる。クインビーは「精神的ダゲレオタイプ mental daguerreotyping」(ダゲレオタイプは19世紀中葉の過渡的な写真技術です)と呼ぶ視覚化を行なうことで、患者が病に向かう自らの治癒能力を高める、というようなことをやったようです。よくはわかりませんが。よくわからないのは、磁気的治癒流体で患者の精神を満たす、というようなことも言っているからで(それ自体はまことに動物磁気説的なのですが)、自己治癒能力を信仰治療的に高めるというだけではない姿勢でした(まあ、そういってしまったらミモフタもないのかもしれませんが)。

II.    クインビーとエディー夫人 Mary Baker Eddy, 1821-1910

 前に、クリスチャン・サイエンスのエディー夫人がホメオパシー療法家と結婚していたことは重要である、というようなことを書きました〔〕が、メスメリズムによる療法を展開したクインビーとエディー夫人との関係のほうがしばしば言及されるところです。日本語のウィキペディアには次のような書かれ方をしています。――

1860年代には、信仰による癒しとフィニアス・クインビー(Phineas Quimby)に関する事柄についての探究を開始した。彼女にクインビーが及ぼした影響には、議論の余地が残されている。なぜなら、彼女は個人的にはクインビーを高く評価していたが、最終的にはクインビーがキリスト教というよりも、催眠術をもとにした手法を使ったという点については否定したからである。

  英語のWikipedia のほうが、詳しく理屈をこねていておもろいです。"Mary Baker Eddy" という見出しがあって、注を積み上げてこう書かれています。――

Mary Baker Eddy the founder of Christian Science is often cited as having derived her theology from her association with Quimby.  Yet, most scholars agree that Christian Science does not reflect the teachings of Phineas Parkhurst Quimby.  For a time Mary Baker Eddy was a patient of Quimby’s and shared his view that disease is rooted in a mental cause.  But as her understanding of Christ Jesus’ approach to healing developed over the years, her concept of life and healing grew further and further away from Quimby’s.  Christian Science is vastly different from the teachings of Quimby.[4][5][6][7][8] 

(クリスチャン・サイエンスの創始者メアリー・ベイカー・エディーは、しばしばその神学をクインビーとの交流から得たというふうに言及される。しかし、クリスチャン・サイエンスはフィニアス・パークハースト・クインビーの教理を反映していない、というのが大多数の研究者の一致するところである。メアリー・ベイカー・エディーはクインビーの患者だったことがあり、病が精神的原因に根ざすというクインビーの考えを共有した。しかし、救世主イエスの治療についてのエディーの理解が長い年月をかけて高まるにしたがって、生命と治療についてのエディーの考えはますますクインビーの考えから離れていった。クリスチャン・サイエンスはクインビーの教理から多大に離れている。)

  この記述は、どうやらクリスチャン・サイエンスの側からの書き込みとしか思えないのですがw、注釈のたとえば5番は、こうです―― "Christian Science is a religious teaching and only incidentally a healing method.  Quimbyism was a healing method and only incidentally a religious teaching.  If one examines the religious implications or aspects of Quimby’s thought, it is clear that in these terms it has nothing whatever in common with Christian Science” (Gottschalk, Stephen. The Emergence of Christian Science in American Religious Life. Berkeley: University of California Press, 1973 - p130)" (クリスチャン・サイエンスは宗教的な教理であり、ただ偶然に治療法である。クインビーの教理は、治療法であり、ただ偶然に宗教的な教理である。以下略

  こうなると、「科学」をとりあえず英文法的には名乗る「クリスチャン・サイエンス」が、宗教的なことをこそ第一義にして、むしろ、擬似であれなんであれ医療、医学、という「科学」的な領域から距離を置くことで自らの位置づけをしているように(といっても書いている研究者らしい人は、どういうスタンスやらわかりませんが)見えます。

Phineas Parkhurst Quimby and Mary Baker Eddy ~ Animated Video of Mary Baker-Eddy <http://www.thescientificman.com/phineas_quimby_&_mary_baker_eddy.html> 〔Mark Twain の文章と映像とテクストリンクですが、例の不気味なQuimby のサイトの一部です〕 

 

時間がなくなった(モーリちゃんの勉強を見なければならない)ので、III 以降は次回に。 


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